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法福修佳さん(鹿児島県出身)
 

長年、日本で事業をされていた法福さんは、ご家族と一緒にオーストラリアでのんびり過ごすために来豪されました。そして、あるものに出会い、やがてその開発に情熱をそそぐことになります。ゴールドコーストのウォーターフロントに家を建てるまでのいきさつや、研究開発された商品について、いろいろとうかがってみました。

  法福さんご夫妻
 
オーストラリアに来られたきっかけは?
法福さん
「わたしは小さい頃からぜんそく持ちで、空気がいいだろうということで北海道へ行き、約40年、札幌で事業をしていたんです。老後は暖かいところで暮らしたいという希望があり、東南アジアへ行ってみたんです。でも、衛生的な面や持病のぜんそくのこともあって、ここには住めないなということになりました。ハワイは、子供や会社の社員を連れて、年に一度は必ず行っていたので、隅ずみまで知っていましたしね。そして、たまたま、あるサークルのメンバーの一員として、オーストラリアに来る機会がありましてね。ゴールドコーストやシドニーなど一週間でまわったんですが、ゴールドコーストが一番印象に残ったんです。暑くもなく寒くもなく、最高のゴルフ日和でした。それに、ヘリコプターに乗って空から見たゴールドコーストは夢のような世界でね」
ゴールドコーストに移住されるまでのいきさつは?
法福さん
「それまで一生懸命頑張って、精神的にも体力的にも疲れが重積していたので、一息つきたかったんですね。当時、札幌とケアンズに直行便があり行ったり来たりがしやすいかもしれないということで、まずケアンズに行ってみようということになりました。そうしたら、ケアンズもいいんですよ。暖かくて、気候もよくて。すぐに気に入って、今度は子供の夏休みに家族で来たんです。2〜3週間滞在して、何とか気に入った土地が見つかったので、正式に契約しようとしていたんです。ところが、ケアンズ滞在中、せっかくなのでゴールドコーストに行くことになり市内観光しているうちに、ケアンズとは全く異なった自然さや、将来近代化されたリゾート地としてより発展の可能性と躍動感のある街並みにすっかり魅了され、急遽変更することになったんです。ケアンズに戻ってから、関係者の方々には大謝りでした。でも、私達にとっては大事なこれからの生活のことなので地主をはじめ関係者の方々に実情を話し快くご理解いただいて本当に感謝いたしております」
ゴールドコーストで理想の物件はすぐに見つかりましたか?
法福さん
「子供の学校の問題もあったので、わたしが先にこちらへ来て、いろいろ探したんですよ。船を持ちたかったので、それをメインにあちこち見て、写真を撮って、家内にも見せ、そしてここに決めたんです。この土地は家内が決めたんですが、それは子供の学校が第一だったんですね。つぎに買い物の便利さなど実用性が高い場所としてパシフィックフェアやブロードビーチ、それから学校にも近いし、ウォーターフロントでしょ? 11年ぐらい前のことですが、まだ周りに一軒も家が建っていなかったので、土地がとても安かったんですよ。おかげで家内には感謝しておりますが……。将来、親戚、友人達も遊びに来たら泊まれるようにと、部屋数がある大きめの家を建てようと考え、この家をつくったんです」
完成したお家はいかがでしたか?
法福さん
「建築中は本当にいろいろありましたよ。風呂場だって、日本人は立ってシャワーなんてしないし、座って洗面器を使うって話をしたら『洗面器って何?』って。それで、風呂桶を描いて見せたりしてね(笑)。浴槽も、こちらのは浅いけど、やっぱり深く浸かりたいじゃないですか? そうしたら、『そんな浴槽はない』って言うから、あつらってでも作ってくれと頼んで……。とにかく、あちこち造り直したりして、完成が延びに延びて、一年足らずの予定が一年半ぐらいかかりましたね。最後にも、ひと悶着ありましたけれど、お世話になった人たちには感謝しています。その頃から、ヒロ(『 嵯峨野 』のオーナーシェフ・南川氏)とも付き合いがあって、彼のところへ食べに行ったり、うちに遊びに来たりして、ずっと兄弟みたいな関係が続いているんですよ」
毎日どのように過ごされていますか?
法福さん
「船はね、買った人たちに大変だよと言われたので、やめちゃったんですよ。ゴルフは随分しましたね。でも、そうしているうちに、仕事をしないということがしんどくなってきてね。それで、何かしようと思って会社をつくりました。もともと貿易をするのが夢だったので、まずはワインを輸出しようということで、いろんなワイナリーへ行きました。それで、わたしたちができることはないなと、すぐにわかったんですよ。日本の大手商社がすでに組織をつくっていたんですね。それで今度は、肉はどうかということで、いろいろ調べたんですが、それも、大きな会社が既にやっていて……」
そして、レンガに目をつけられたのですね?
法福さん
「この商品だったらいけると思って、徹底的にレンガをやろうと。日本は世界的地域性として稀にみる厳しい気象条件下にありますよね。たとえば頻繁に起こる地震、なかには震度6以上の強震は2〜3年毎にあるじゃないですか。そして毎年5〜6回は必ず遭遇する台風、それは日本の何処かに上陸しております。その時の豪雨は凄まじいものですね。そして毎年数ヶ月続く梅雨など、極端に言えば日本は一年を通して水浸しの国と言えますよね。レンガは地震の揺れに脆いし、水を吸いますので外部結露の問題で、日本では使いにくいんですね。 しかし、レンガ壁は世界中の国々が古来から現在まで何百年の耐用が維持出来る永久壁でしょう。そこでわたしはこの厳しい気象条件の日本で何百年もの耐用を維持するレンガ壁を作り出すにはどのような構造にすれば良いかを、何かにとりつかれたみたいに入っていったのです。レンガが吸水した水が内壁の中に入らないようにするには、いかなる強い地震でもレンガが剥離、落下しないようなシスティムにするには、レンガ特有の保温性を最大限に活用し、夏涼しく、冬暖かい地球環境にやさしい省エネの外壁材にするには等々どのような工夫が必要かを試行錯誤で研究しました。わたしは性格的に何でも、とことんまで追求していく質なもんですから」ハア・ハア(恥ずかしそうな笑い)
特許も取得されたのですよね?
法福さん
「特許をとるのもね、申請方法を聞いて全部自分でやったんですよ。構造の物理的な裏づけなど、すべて細かい分析が必要なんです。それを全部調べて文書化してね。素人申請でしょう。一度却下されたのですが、どうしても断念出来ず、深い確信をもって、補正申請しました。『誰か紹介してあげましょうか?』って言われたんですけれど、ここまでやったんだから自分でやりますと、意地ですね。夜中に何度も家内が体調を気遣って、部屋のドアの外まで来ているのを知ってたんですが……。何かにとり付かれたみたいに心身が疲れるまで止められないんですね(笑)」そうしたら家内が心配した通り、心身の疲労とストレスで重い帯状疱疹にかかり、3年半経った今でも痛みに苦しんでいます」
ゆっくりリタイヤするはずだったのに……。
法福さん
「苦労しに来たようなもんですね(苦笑)。これを商品化するのに 実験、他外壁材との競争力に負けないコストの確立の為の製作コストの工夫。マーケットを把握する為の市場調査等など3年かかりました。もう、エネルギーを使い果たしましたよ。でもね、本当にいいものを安く提供して、新築住宅だけでなく、古くなった中古住宅や中古アパートを救いたいと言えばおおげさですが資産価値が殆どなくなった価値を高めるお手伝いをしたいと思ったのです。その中古住宅、アパートが当社のレンガ外壁を使う事によって、実際に地震に強く、結露発生が少ない住宅として100年でも200年でも、もつんですね。30年もたてばいいとか、そういうものじゃなくて。長いローンを組んで手に入れるものなんだから、外国みたいに財産としてちゃんと残るようなものをつくるのが建築会社としてのポリシーでなければいけないと思うんです。で、わたしはその素材を作っている人間として、少しでもお役にたてればいいなという思いでこれを開発したんです。自画自賛かもしれませんがこのレンガを使えば、耐震性がよくて、結露なし、省エネ住宅、そして長期永年住宅(長期耐用住宅)として、そういうことが可能になるんですよ」(詳しくはこちらへ)
それでは最後に、これからゴールドコーストで暮したいという方へ一言お願いします。
法福さん
「まずね、ここは非常に健康的で、癒しの国だと思うんですよ。気候が安定していて寒暖の差が少ないし、空気もきれい、そういうのが一番の魅力ですよね。特に非常に健康的と申しましたが老若男女みんなが何がしかのスポーツを嗜みその設備が至る所で無料開放せれております。日本みたいに薬漬けの健康維持でなく、真の心身の健康管理を行っていることに驚きます(人口割合から見た場合、オリンピックの金、銀、銅のメタルの取得率は世界一ではないでしょうか)。それから、いろんな面で騒々しさがないですね。人間っていうのは、良いことでも悪いことでも、ややこしい関係がたくさんでてくるじゃないですか? それだけは嫌だったんですが、そういう精神的な騒然さがここにはなくて、ゆったりした生活が過ごせます。それからゴルフや釣り、サーフィンなど、やる気さえあればお金をかけないで何でもできますよね。わたしはあのまま日本にいたら不健康な生活が続いていたと思いますよ(苦笑)。ここにいることによって、健康で寿命がのびると思いますね」

のんびりリタイヤできるのに、遊んで暮すことが退屈で、仕事がない生活は苦痛とおっしゃる法福さん。奥様に体調を心配されつつも、レンガの開発に情熱をそそぎ、ついには特許まで取得されました。それも、騒々しい日本ではなく、素晴らしい環境のゴールドコーストだったから実現できたのかもしれませんね。このレンガがどこまで広がるのか、思いをこめて作った商品なだけに、まだまだ夢は広がりそうですね。

法福さんのレンガについては下記のサイトへ
Hoxin Trading Australia Pty Ltd
取材・文・撮影/城文子
インタビュー/2007年09月07日