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松田広・繁子さん(埼玉県出身)
 

日本では外資系銀行にお勤めだったり、海外から来ている人に部屋を貸していたり、外国人との交流や語学に対する興味があり数カ国語を学んでいた松田さん。来豪前から国際的な感覚をお持ちだったようです。ゴールドコーストでは特別なことは何もしなくても毎日が楽しいとおっしゃるお二人です。奥様お手製のお菓子やお漬物など出していただきながら、いろいろなお話をうかがってきました。

  広さん・繁子さん
 
なぜオーストラリアで暮そうと思われたのですか?
広さん
「わたしは日本にある、アメリカの銀行で働いていたんですが、同じ課の女性からオーストラリア人を紹介されたんですね。それで家内と一緒に会いに行ったら、その方に『銀行を退職されたらどちらへ行かれる予定ですか?』と訊かれたので『ハワイかロスか、とにかくアメリカに行くつもりです』とこたえたんです。いい思い出があったし、気候もいいかなと思っていて。でもその方がオーストラリアをすすめてくれて」
はじめの半年間はシドニーにお住まいだったんですよね?
広さん
「そのオーストラリア人もシドニーの方だったんですよ。でも、その前に家族旅行でシドニーとゴールドコーストへ来たことがあったんですね。2月のとても暑い時期で、家内が『ゴールドコーストは暑いからシドニーだったらいい』と言うので、シドニーのマンリーで暮すことにしたんです」
ゴールドコーストへ引っ越してこられたのはどうしてですか?
広さん
「日本で、バングラディシュの人たちに部屋を貸していたんですよ。彼らが部屋を借りようとしても、難しいんですね。そういうことが東京や神奈川、千葉、埼玉で社会問題になっていたんです。わたしはアメリカの会社に勤めていたでしょ? だから外国人もよく来たし、彼らの状況を聞いているうちにかわいそうになってきてね。じゃあ、一人か二人だったらうちでどうかな? と思って、お世話したことがあったんですよ。そうしたら彼らがバングラディシュへ帰るとき、『あの家はとっても良かったよ』と紹介するみたいで、そうるすと次から次に集まってくるんですよ(笑)」
繁子さん
「それで、家族旅行で来ていたときに、サーファーズを歩いていたら、ドルフィンアーケードから男の人が飛んできてね、『わたしのこと見覚えありませんか?』って訊くから、こんなところに知り合いなんていないと思ったけれど、よく見ると見覚えがあったのね。そうしたら『日本で5年くらいお世話になったバブです』って言うの」
広さん
「家内が『ちょっとお父さん!』って呼ぶから振り向いたら『なんだ、バブじゃないの?』って(笑)。わたしはその青年を覚えていたんですよ。日本の風俗習慣だとかいろいろ教えてあげたし、懐かしかったんじゃないかな。それで飛んできて声をかけてくれて。ずいぶん感動したみたいで、頭を下げながら『あぁ、よくオーストラリアに来ました』って言ってくれてね」
その再会が縁で、ゴールドコーストへ?
広さん
「その時は旅行で来ていたから、いったん日本へ帰ったんですけどね。シドニーで暮しているとき、バブの奥さんの具合が悪いって聞いたからお見舞いに来たんですよ。でもバブは一日中仕事だったので友達に案内させると言われ、それが不動産屋さんの人だったんです。われわれは不動産を買うつもりはなかったんですが、たまたま許可をもらって入った部屋が8月末に完成して9月に入れるっていう話しで。その時われわれのシドニーの部屋の賃貸契約があと一ヶ月で切れるから、タイミング的にちょうどいいやって。それで、買っちゃったんですよ」
繁子さん
「最初はシドニーがいいと思ったけれど、その時期、寒くて寒くて。やっぱりゴールドコーストがいいっていうことで(笑)。ちょうど建物もみつかったし」
ゴールドコーストではどのように過ごされていますか?
広さん
「もうすぐ10年になるけれど、あっというまに友達が増えました。ギリシャ人の友達もいれば、中国系・アジア系・ヨーロッパ系・アメリカ系等々オーストリアの青年もいるし」
繁子さん
「インド人もいるし、スイスの人もいましたよ。すぐに声をかけるから、話しこむうちに、友達になるみたいですね」
広さん
「本当に友達が多いですよ。だから、飽きませんね。ここでの暮しに何の不自由もないし、素晴らしいです。われわれはゴルフも釣りもしないんですけれどね」
繁子さん
「日本人は、ゴルフをするのが当たり前だと思っている方が多いですよね。だから、『どうして?』ってよく言われるんですよ。だけど、別に何もしなくても、楽しいですよ。あちこち遊びに行ったわけじゃないけれど、これまで日本へは2回しか帰っていないんですよ」
ご友人の国籍が幅広いですが、ご職業柄、英語が堪能だったのですか?
広さん
「子供の頃から英語の勉強が好きだったんですよ。英語に限らず中国語とかスペイン語とかハングルとかね、ちょっと勉強すると多少はものになるんですね。もともと、わたしは京都の村雲御所というところで働いていたんですよ。不平不満は何にもなかったんですが、まだ23か24でしたし、世間の風にも当たらないで、これがわたしの人生かなって思うと、はかないような気がしてね。それで、英語を使うようなことがしたいと思って、東京の職業安定所で探して、チェイスマンハッタン銀行を紹介してもらったんです。最初はドライバーとして入り、現金輸送から偉い人の運転手まで、いろいろと経験して面白かったですよ。それがある日突然、本店の内勤勤務に転勤になって、それから定年で辞めるまで、神経すり減らして仕事してきました。仕事一辺倒で夜も寝ないで働いて、ノイローゼ寸前だったんですが、わたしを救ってくれた愛人がいたんですよ。テレサテンです(笑)。行き帰りに彼女の歌を60曲以上聞いて、中国語で歌えるようになったんですね。仕事から気分をパッと切り替えてくれるのが彼女の歌だったんです。今でもよく聞きますよ。だから、外国語を学ぶのが好きなんですね」
奥様はお料理を楽しまれているんですよね?
繁子さん
「このきゅうりは(満喫写真館参照)、ベトナム系のきゅうりで作ったんですよ。ダラとかイナラへ行って買ってくるんですが、そういうのも面白いですよ」
広さん
「セロリのあれも、おいしいよ。みんなが喜んでくれる……」
繁子さん
「あぁ、あれね。セロリの葉っぱも全部使って作るんです。切って、お鍋で水煮して、それから油とお醤油で炒めて、ダシと料理酒を入れたり、チリを入れたりね。お砂糖を入れないからお酒のツマミにもぴったりです」
それでは最後に、ゴールドコースト生活を楽しむコツを教えてください。
広さん
「この国に住ませてもらっているという感謝の気持ちを持つことだと思います。そうすると、お友達もいっぱいできるんじゃないかな」
繁子さん
「こちらの人はもともと親切ですよね」
広さん
「だから、自分がオープンであれば相手もオープンになってくれるし、そのことに感謝していれば、誰とでも上手くやっていけるんじゃないかと思います。常に感謝の気持ちで接していけば、素晴らしい生活ができると思いますよ」

松田さんご夫妻は約10年間のゴールドコースト満喫生活を終え、一度日本へ帰られる予定ですが、オーストラリアには感謝しているし、また戻ってくるかもしれないとおっしゃっていました。たくさんのご友人に囲まれ楽しんでこられた背景には、日本でバングラディシュの人々をお世話されていたように、お二人のオープンな心があるように感じます。こうした松田さんご夫妻のあたたかな人柄が、国籍問わず人々をひきよせているようです。特に何かをしなくても、こうした楽しみ方ができるのもゴールドコーストの魅力ですよね。

取材・文・撮影/城文子
インタビュー/2007年08月13日