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デズモンド・ルイスさん(イギリス出身)&里美さん(名古屋出身)
 

現在ブリスベンを拠点に、在宅支援によるケアサービスを提供しているルイスご夫妻にお話しをうかがってきました。奥様の里美さんは日本で13年看護師として働いた経験とオーストラリアの看護師資格を併せ持つ看護のエキスパート。一方、旦那様のデズモンドさんは高齢者専門福祉サービスの学位や高齢者介護施設での勤務経験を持つダイバージョナルセラピスト。『 和やか 』のミッションは、そんなお二人の知識と経験を最大限に活用すること。「インターナショナル・ファミリー・ケア・和やか」と呼ぶサービスを始められたいきさつや現状を熱く語っていただきました。

  デズモンドさん・里美さん
 
オーストラリアに来られたきっかけは?
デズモンドさん
「9歳の時、両親に連れられてイギリスからオーストラリアに移民してきました。だから、わたしに選択権はありませんでした(笑)」
里美さん
「わたしは10年前に初めて来ました。それまで日本で13年間看護師をしていたんですけれど、バーンアウトして仕事を辞め、友人のいたオーストラリアで長期休暇をとろうと思ったのがきっかけです。そのときは、少し学校へ通ったりして、とりあえず10ヶ月で日本へ帰ったんです」
なぜ、もう一度オーストラリアへ戻ろうと思われたのですか?
里美さん
「日本でまたどこかに就職するふんぎりがつかず、もう一度、自分がどうしたいのかを考えたら、とにかく納得のいくように、オーストラリアで看護師の資格がとれるまで頑張ってみたいと思ったんですね。それで、半年後にまた戻ってきました。それからIELTSの勉強をして、なんとか大学に入り、2000年にこちらの看護師の資格をとり、2005年には修士過程も終了しました」
日本での実務経験は大学の勉強に役立ちましたか?
里美さん
「そうですね、課題をするにしても、経験があることで、場面のイメージがしやすかったですね。でも、勉強は大変でしたよ。その頃はまだ彼にも出会ってなかったので、寝るか、食べるか、勉強するかバイトかの毎日で(笑)。ノー・ソーシャライズ(社交なしの生活)でしたね。でも、今振り返ってみると、大変だったけれどあの時が一番充実していました。ナーシングホーム(老人ホーム)でバイトをしていましたし、自立してやっているぞという実感がありました」
オーストラリアと日本で看護事情に違いはありますか?
里美さん
「ありますね。文化の違いが大きく影響していると思いますが、つくづく日本人は仕事が丁寧で、きめが細かいと感じます。こちらではケアを受ける側も寛大ですが、仕事のきめは粗いですね。また私が目の当たりにしたことでショックだったことがあるんですが、ナーシングホームで、シャワーの前にトイレを経由する決まりだったら、その後にトイレに行きたいって言われても、すぐには『はいはい』と連れて行かず、あの時に行かなかったんだから……っていうような態度をとるんですね。『看る側のほうがコントロールするのー!?』って悲しかったですね。仕事のスムーズな流れも大切ですが、トイレは人間の自然な欲求ですからね。逆に、休憩時間がとれないとか、仕事が時間内に終わらないっていうのは、その人に仕事能力がないとみなされるんです。でも病気の時はさっさとシック・リーブ(病気休暇)をとって休みます。その場合は『健康管理が悪い』にはならないんだー、みたいな(笑)」
『 和やか 』を始められたいきさつは?
里美さん
「最初のきっかけは、病気になった時やナーシングホームに行かなくてはならなくなった時、日本とオーストラリアの環境や文化の違いはとても辛いだろうなと思っていたことです。病気になるとただでさえ心細いのに、住み慣れた環境や習慣がないことはますます辛いですよね。それと言葉や食事の問題もありますよね。今は元気に英語を話してバリバリ働いていらっしゃる方も、年をとって認知症の症状がでてきたり、言語障害がでたりすると、どうしても第一言語の日本語に戻るんですね。それから、朝食にはシリアルやトーストではなくお粥のほうがいいなとか。それで、そういう所に入ると、好きな食事もとれないからと、お家で頑張る方も多いんですよ。それなら、わたしにできることは自分が出向いていくことだと思い、まずは始めてみようかなと」
具体的にはどのようなサービスを提供されているのですか?
里美さん
「基本的には高齢者の方や日本人に限らず、病気や障害を持ちながら生活している方々はもちろん、健康維持や増進に問題を抱えていらっしゃる方すべてが対象なので、インターナショナル・ファミリー・ケアと呼んでいます。私たちは在宅生活を支援する民間会社なので、必要なニーズに応答できる適切な援助者がご自宅にうかがい、看護の資格を有するものによる専門的ケアや看護アシスタントによる介護支援を行います。サービスの内容は自宅での身の回りの介護、介護者のリリーフ、妊娠、出産、育児支援なんですけれども、通院時の通訳や付き添いもします。入院になった場合でも病院にうかがいます。介護者のリリーフというのは、普段は家族の方が看ていらっしゃっても、例えば短期で日本に帰るとか、その日だけどうしても出かけなければならないという場合にうかがったりします。また逆に日本から短期滞在をお考えでも、健康上の理由から不安をお持ちの方への援助もさせていただいております。ただし、あくまでも、健康上の問題や理由のある方が対象です。たまにベビーシッターとかショッピングをお願いされるんですけれども、そこは明確にしていただきたいんです。もちろん、ご本人が病気であれば買い物もベビーシッターも引き受けますけれど」
ふれあいサロンではどういうことをされているのですか?
里美さん
「今のところブリスベンだけなんですが、月に2回、わたしたちの家に来ていただいて4時間ほど過ごしてもらい、その間、ご家族の方には普段できないことをしていただいたり、自由な時間を持ってもらったりしています。そして、ふれあいサロンでは懐かしい日本の味わいを肌で感じていただけるように日本食のお昼を食べてもらい、ホッと過ごしてもらっています。日本でいうデイケアのようなものですね。介護する人も自分の時間が持てるし、当事者も家族や自分の子供たちに介護の負担をかけているというストレスから解放されますよね。両者に心身ともにリフレッシュしていただきたいんです。将来的には、せめて週1回、できればゴールドコーストでも行えればなと思っています」
デズモンドさんの経歴にある『 ダイバージョナルセラピスト 』とは?
デズモンドさん
「ナーシングホームでは、人々は『ここには死ぬためにいるんだ』と考えること以外、ほとんどすることがないんですね。そういう人たちに家庭のような雰囲気を作ってアクティビティをしてもらったり、補助セラピーを受けてもらったりして、彼らの人生がハッピーになるようにオーガナイズする役割です」
里美さん
「彼はもともとナーシングホームでダイバージョナルセラピストとして働いていたんです。今では『 ダイバージョナルセラピスト 』で検索すると、情報がでてくるようになったんですけれど、昔は全く名が知られていませんでした。オーストラリアでは高齢者ケア施設に必ずいなければならない存在です。そういう、わたしたちが持っている医療、看護の知識や経験、そしてお一人お一人の人生を楽しめるようなサポートを可能とする知識や経験をつぎこんで、充実したケアサービスを提供していきたいなと思っています」
今後の予定をお聞かせください。
里美さん
「将来的には、小さくてもいいので、日本人の高齢者の方のための入居型というかリタイヤメント施設というか、そういうものを作りたいですね。普段はプライバシーを尊重した生活環境を提供しつつ、食事やちょっとした身の回りの援助はしっかりサポート! 食事はご自分で作っていただいてもいいのですが、お昼ご飯は皆で一緒に食べてお話ししたり、楽しんでもらえるような趣向を考えています。もちろん昼食は美味しい日本食をご用意いたします。また、皆様のリクエストにお応えできるようにもしたいと考えています。そして、ザブンとつかるお風呂など、日常の中にある楽しみやリラックスを提案していくことが今の私たちの夢ですね」
在住日本人の方へメッセージをお願いします。
里美さん
「日本人の看護師がいるっていう認識がまだ一般的ではないので、まずは資格を持った日本人看護師たちが活躍しているんだということを知ってもらい、安心していただきたいですね。また、使えるサービスはどんどん利用していただきたいです。『和やか』ではどんなサービスが受けられるかのご相談も承りますし、施設選択に関してのアドバイスもしています。この際割り切って、プロに頼れるところは頼ってほしいです。無理をせず、補助を受けながらのほうが、結局は介護も長続きすると思うんです。全部自分でしょいこんでしまうと、介護する本人が病気になってしまいますよね。以前、わたしたちのような存在がいるとわかっただけで気が楽になったとおっしゃられた方がいたんです。だから、どこに相談したらいいのかわからないとか、オーストラリア人が来たらどうしようとか自分一人で抱え込まないで、そういう時はぜひ『和やか』に頼っていただきたいですね(笑)」

健康上に支障をきたしたときや介護が必要なとき、日本語でプロの方の介護が受けられるのはとても心強いですよね。里美さんは明るく頼りがいのあるお人柄なので、心配事がある方は気軽に相談してみはいかがでしょうか。必要なニーズに適切に対応してくださいますよ。また、オーストラリアでの現場経験から、わたしたち日本人の気持ちを考えたサービスを提供されています。ふれあいサロンには、心身共に元気で生活してほしいという里美さんご夫妻の願いがこめられています。質の高いケアが日本語で受けられるという安心感を、より多くの在住日本人の方に知っていただきたいと思いました。

『 和やか 』
日本語でのお問い合わせ
電話: 07-3715-5901
携帯電話: 040-726-1465

インタビューコーディネイト/ドューリー順子
取材・文・撮影/城文子
インタビュー/2007年08月08日