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大阪府出身 田村範由紀・くみこさん
 

ゴールドコーストの有力紙『 The Gold Coast Bulletion 』に剣道の達人として紹介された田村さん。防具を身につけ木刀を振り上げる写真から、硬派なイメージを想像していたのですが、インタビューにうかがった日が休日だったということもあり、家庭の良きパパといった印象を受けました。ゴールドコーストの『 功名が辻 』だとおっしゃる奥様のくみこさんと一緒に、ゴールドコースト生活やお仕事、そしてもちろん剣道について語っていただきました。

  田村さん
 
オーストラリアに来られたきっかけは?
範由紀さん
「日本で勤務していた会社がゴールドコーストでリゾート開発するということで、『海外で働かないか?』という話を当時のオーナーからいただき、こちらに転勤してきたというのがきっかけです」
それはいつ頃のことですか?
範由紀さん
「最初にロイヤルパインズリゾートのオープニングを手伝ったのが1990年の12月ですね。4ヶ月くらい勤務して、その後一度日本に帰国し、それから再度辞令がおりました。永住する形で転勤してくれないか、ということで。勤務先だった松下興産のホテル事業部の展開がどんどん始まる中、同僚がそれぞれオープンした所に派遣されていき、オーストラリアに行くことになったのがわたしでした。後輩を何人か連れてこちらに来たんですが、海外勤務未経験のわれわれだけでは心細いので、当時の人事責任者に引率してもらいわれわれが生活しやすいように骨組みをつくっていただき、それで安心して仕事ができるようになったんですね。その人事責任者が現在ロイヤルパインズリゾートの責任者として2001年より赴任され、上司と部下として、かれこれ21年のお付き合いをさせてもらっています。現在は、別の企業がロイヤルパインリゾートを買ったので、その現地法人に所属しています。オーナーが変わって、ちょっと不安もあったんですけれど、責任者も継続して勤務されるという事で今後も一緒に仕事をしていけるので、現在も安心して業務に励んでおります」
オーストラリアへ転勤ということで、奥様は驚かれたでしょう?
範由紀さん
「実は、最初にこちらに来たときに、うちのホテルで知り合いまして。それから日本で結婚したんですけれど。だから、普通の奥さんならオーストラリアに行くって言ったらびっくりして抵抗ありますよね? でも、うちの場合はオーストラリアの生活経験があったので」
くみこさん
「話せば長くなりますが……(笑)。知り合ったときにはロイヤルパインリゾートの宝石屋さんで働いていました」
範由紀さん
「だから、会社から2回目の辞令を受けたとき、うちの場合は二つ返事で『喜んで行ってきます』と。『骨をうずめるつもりで行ってこい!』って言われたのが、本当に骨をうずめるはめになっちゃいましたね」
くみこさん
「もう、『 功名が辻 』でございますから〜(笑)。主人が右と言えば右に行きますし。主人にすべてまかせております」
範由紀さん
「背中がかゆくなってきた……」
異国で働くということで、苦労はありましたか?
範由紀さん
「もちろんありました。一番つらかったのは、習慣の違いと言葉の壁ですね。わたしはホテルのレセプションで働いているんですが、まわりは全員オーストラリア人のスタッフで、日本語がわかる人間は誰もいませんでした。わたしの仕事は日本人のお客様への接客がメインですが、それでもお客様の90%ぐらいは現地のオーストラリア人で、その方たちの相手もしなければならなくて……。こればっかりは言葉ができないというわけにもいきませんよね。もともと言葉が堪能でこちらに来たわけではないので、とにかくそういう苦労がありました。それに、たまたまホテル業のベースは世界中どこでも共通する部分があるんですが、オーストラリア人の従業員に日本のサービス業の習慣を理解してもらうのがすごく大変でしたね。とにかく日本人のお客様は待つことが嫌いですよね? スピーディな対応をすごく求めてきますが、オーストラリア人はそうではなくて、とくにゴールドコーストでは、のんびり、ゆったりしたものを満喫していただくという雰囲気で。だから二言目には『ここはオーストラリアなんだから! ゴールドコーストなんだから!』と日本の文化をシャットアウトされましたね。そういう意味では悩みましたけれど、だんだん方向性がうまくあいまして。伝え方にもよるんですよね。日本の文化の良いところであるスピーディな対応をある程度吸収してもらい、お客様にはのんびりしていただくというオーストラリアの良いところも提供する、そういうふうになってきたところですね」
新聞記事を拝見しましたが、オーストラリアで剣道は人気のスポーツなのですか?
範由紀さん
「人口から言いますと、オーストラリア全土で大人子供合わせて1100人が登録しています。クィーンズランド州にある道場の数は、ケアンズに2ヶ所、ロックハンプトン、ゴールドコースト、ブリスベン、トゥーウンバの6ヶ所ですね。ゴールドコーストの道場では、こちらに永住されている6段を持っている塚平さんという方が中心に指導されています」
全国大会で優勝されたとか?
範由紀さん
「日本の伝統スポーツで日本人なんだから優勝しないといけないなぁ……、なんて甘い考えで参加したんですけれど、悔しいことにオーストラリア人が一位二位を占めるという結果で。さすがにスポーツ王国オーストラリアと言われるだけありますよね。でも、大会にでるたびに仲間が増えましてね、ゴールドコーストチームを盛り上げたいなと思って。チーム戦は州別のチームを作ってそれぞれ競うんですが、一昨年にゴールドコーストで大会がありまして、29回目の大会にして初めてクィーンズランド州が優勝しました。ニューサウスウェールズ州とビクトリア州は剣道人口が多くて恵まれているものですから、今まではずっとその2州がとったりとられたりしていたんです。去年はキャンベラで大会がありまして、そこでもクィーンズランド州がとったので29回目と30回目の金メダルがあるんですよ。それから、ペアで参加する『剣道形』と言う、木刀を使って基本をいかに綺麗に見せるかという種目がありまして、ブリスベンの選手と組み、去年初めて優勝させていただきました。3人の審判が、どちらがいいか軍配をあげるんですけれど、完全試合をとらせていただいて。初優勝で、しかも相手側にまったく軍配があがらなかったというのが、嬉しかったですね」
息子さんのショーン君も剣道をされているのですか?
範由紀さん
「息子は空手ですね(満喫写真館参照)。家内がもともと、『男だったら棒を持たずに女の子を守れるようになんなさい!』ってね。僕は棒をもたなきゃ何もできないんで、それじゃあ意味がないっていうことで(苦笑)」
ゴールドコーストならではの楽しみ方は?
範由紀さん
「やっぱり海にも山にも近いし、一日で両方楽しめますよね。それは日本で味わえない環境だと思います。それからオーストラリアは広大な土地があるので、われわれはシドニーへ旅行するときにも飛行機にのらないんです。車で1000キロでも2000キロでも走っちゃうんですよ。女房も子供たちも車に乗っていることを楽しむので、目と体で自然を感じながらというのが魅力ですよね。まず渋滞がないですし、綺麗な空気を吸いながら。道中いろんなことに出会ったりしますしね」
くみこさん
「途中でインフォメーションセンターに寄りながら、そこでパンフレットをいっぱい集めて宿泊先を決めたりして。温泉にも行ったよね?」
範由紀さん
「モリーというところがあるんですけれど、そこは完全にアウトバックで。ここから内陸に540キロくらい走るのかな? 旅行は共通の趣味なので、子供が巣立った後は二人でゆっくりと車で一周できたらいいですね。オーストラリアは広いんで」
くみこさん
「キャンピングカーでね」

「ゴールドコーストに落ち着けて良かったね」と当時の同期の方々にうらやましがられ、自分の選択は正しかったとおっしゃる田村さん。『 ロイヤルパインズリゾート 』 でのお仕事と剣道の両立、そして車での旅など、ご家族揃ってゴールドコースト生活を満喫されています。ちなみに剣道の腕前は現在4段だそうで、オーストラリアで昇段審査が受けられるとのことでした。毎年全国大会の時期に、8段以上の先生3人が日本から来豪、昇段審査をされるそうです。オージーの選手たちに負けないように、今後のご活躍を期待しております!
インタビューコーディネイト/荒木祥久
取材・文・撮影/城文子
インタビュー/2006年03月21日