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長野県出身 後藤護・綾子さん
 

今回は、サーファーズパラダイスにお店をかまえる『 Hair Salon MAMORU 』のオーナー・後藤護さんと奥様の綾子さんにお話を伺ってきました。場所がら、旅行中のお客様もいらっしゃるそうですが、何度も何度も帰ってきてくれる常連客の方が本当に多いそうです。日本人のみならず、多国籍なお客さんをひきつけてやまない『 Hair Salon MAMORU 』の魅力にせまってみました。

  後藤さん
 
オーストラリアに移住してこられたのは、いつ頃ですか?
護さん
「来たのは91年6月です。わたしたちはまずブリスベンをターゲットにしたんです。永住を目的としてオーストラリアを見たとき、まだブリスベンには商社の方がけっこう多かったので、その人たちや中高年の人たちをターゲットにしたいと思ってブリスベンに入ったんです」
もともと海外志向だったのですか?
護さん
「はい、最初はヨーロッパでした。それが、ヨーロッパに行こうという時に、家内が病気になっちゃったものですから、おじゃんになってしまって……。その次はカナダ。でも、その時もやっぱり縁がなくてダメになって、三度目の正直がオーストラリアだったんです」
オーストラリアに決めたきっかけは?
護さん
「東京で住んでいたマンションの9階に友達がいて、彼らが先にシドニーに入っていたんですよ。『いつまでも東京でウダウダしていても仕方ないから、たまには遊びにおいで!』って言われて来たのが、初めてのオーストラリアだったんです。それが決心する決め手になりました」
ゴールドコーストで『 Hair Salon MAMORU 』を始めたいきさつをお聞かせ下さい。
護さん
「ブリスベンでちょっと時間があったから、ゴールドコーストに遊びに来てみたんですよ。ところが、ここで初めて見た青一色の空と海、その一体化に惚れたんですね。東京から出てきたものですから、ブリスベンはなんとなく同じような感じだったのかな。それで、まずラナウェイベイに家を買ったんですよ。水辺に住んでみたかったというのもあったし。そうしたら、まわりにはリタイヤの人が多くて、皆さんがすごくヘルプしてくれてね。そのうち、そこに住んでいる日本人の方に『サンクチュアリーコーブの中にある美容室へ行くんだけれども、言葉が通じないからヘルプしてくれない?』と言われてその美容室へ入ってみたんです。そして、じゃあ、ここからスタートしてみようかということになりました。そこでは薬とか、オーストラリアの美容のシステムとかいろんなことを勉強しました。ところが、オーナーチェンジ(経営者の交代)があって、わたしは外国人だったので真っ先に切られてしまったんですね。それで、サーファーズにあるお店に半年くらい務めて、その後、このお店を始めたんです」
客層はどういった割合ですか?
護さん
「日本人と、それ以外の国の人が半分半分くらいですね。けっこうアジアの人間もいっぱいいますよ。もう、ほとんどレギュラーですね。有難いですよ、本当に。日本でもらった考え方、技術、知恵、いろんなものすべてが世界でトップだと思うから、それを素直にやっていれば間違いはないと思う。要するに、一生懸命することが一番大きいですね。どんな仕事にも言えると思いますよ。今一番楽しみなのが、今年の一月一日から始めたんですけれど、国別でお客さんを調べているんです。面白いですよ。地図にサインしてもらうんです。もう、アジアの国は全部来ていますね。アメリカ人も今日来たし、カナダ人も先週来た。あとブラジル人も来ているし。これを一年間、12月31日まで国別でやろうと思うんです。ここは移住国だから、いろんな人が来るじゃないですか? 何カ国の人が自分のお店にくるかと思うと、楽しいですよ」
綾子さん
「アフリカの人は『うちの国は小さいから、のっていないかもよ?』なんて言って探してくれたりね(笑)」
護さん
「『あなたの国の人では、あなたが第一番目のビジターですよっ』って言ったら、『おおっ!』って喜んでくれたり。これからのシーズンはヨーロッパの人が来るんですよ」
お客さんと話すきっかけになりそうですね?
護さん
「その国の食べ物のことを聞いたり、いろんなことを話したりします。それで友達になって、今度は何か一品を作ってもらう。もう、けっこういろんなものを食べましたよ(笑)。楽しいです。簡単に作ってきてくれますよ。そのかわりカットはタダです。学生さんだと、あんまりお金を持っていないから、ギブ&テイクで。そうしたら今度はその国へ行けるじゃないですか? 来年だと思うんですけれど、ずっと長く来ていた台湾人の男の子が結婚するんですね。僕らが台湾へ行って、奥さんの髪の毛をセットするとか、そういうことも出来るじゃないですか?」
綾子さん
「それからメルボルンの夫婦が毎年来てくれるんですけれど、『手作りのジャムだよ』って持ってきてくれます。そして今度は、そのお嬢さんがゴールドコーストに来てくれたり、そういうつながりがあるのはすごく暖かいですよね。言葉が通じない分、こちらも一生懸命やらなくちゃって」
慣れない外国でビジネスということで、ご苦労話などありますか?
護さん
「ないです。いまだにこの仕事が好きですから。まだやめたいとも思わないし、まだまだこれから先も続けたいと思います。皆さんが思っているより、楽でしたね。生意気を言うかもしれないですけれど、しょせん隣の芝は青いんだから、青いままに見つめていれば綺麗なんですよ。ただ、自分に与えられたもの、その範囲内でやっていれば必ずビジネスは成功すると思います。それ以上にやっちゃうと失敗するかもしれないし、中途半端にするととんでもないことになるけれど、自分の範囲の中でやったらどんなビジネスも成功すると思う。一番根本的なことは、そのビジネスを、まずは好きになることだと思います。商売そのものを愛してあげることがまず第一なんじゃないですかね。わたしはそう思います。それに、家族がお互いに正直でいれば、怖いものはないと思うんです。こっちに来て16年ですけれど、お金のあるないにかかわらず、正直に生きていたから、それが良かったんじゃないかなと。子供のことは子供たちがこれから決めることであって、まず親がしっかりとして、夫婦がお互いに気持ちよかったら子供も気持ちいいと思うんですよね」
毎日お忙しそうですが、ゴールドコーストでの生活はいかがですか?
護さん
「下手ですけれど、ゴルフをやっています。とりあえず土曜日に庭の芝刈りをやって、それからゴルフの練習場に行って。家の前もゴルフ場ですけれど、日曜日はいろんなところへ行くんです。僕らは皆さんみたいに上手くないですから、いつもと場所を変えて、夫婦で時間を過ごせればといいな、ということで」
それでは最後に、『 Hair Salon MAMORU 』のアピールポイントをお聞かせください。
護さん
「オールマイティですね。要するに、美容師というものはカットだけでは無理だと思うんです。ブロウだけでも無理だし、シャンプーだけでも無理だと思う。だから、今までこの店を二人でやってこられたのは、誰が来ても受け入れOKっていう、オールマイティに何でもOKという技術を持っていたからだと思うんです。長く続けていくためには、やっぱり世界中の誰が来てくれてもOKじゃないと。だからお店のアピールっていったらオールマイティでしょうね。着付けもできるし、アップもできるし」
綾子さん
「わたしたちは最初、こんなにこの店を続けるとは思っていなかったんです。だから、いつやめてくれるかな? なんて思っていたんですけれど(笑)。でも、護さんは本当に楽しんでいて、昔からいつも言うんですよ、『趣味を仕事にしているので僕は幸せだ!』って」
護さん
「本当に感謝しています。この街の中でたぶん一番幸せだと思う」
綾子さん
「ほら、そう言える人ってなかなかいないじゃないですか?」
護さん
「だって、こんなに良いお天気の中ですよ、自分の好きな仕事ができて、お金がもらえるなんて、それ以上の幸せがどこにあるんですか? 週末にはゴルフして、芝刈りして、自分の好きなことをやっていられるんですよ。皆さん、感謝の気持ちをもってください!!」

国別にお客さんを調べている大きな地図を、本当に楽しそうに見せてくれた護さん。仕事後のインタビューだったのでお疲れかと思いきや、目を輝かせるようにしてゴールドコーストで働くということや移住生活について話してくださいました。奥様と二人三脚で築いてこられた『 Hair Salon MAMORU 』の歴史は、常連さんたちの存在や護さんの仕事に対する熱い思いとともにこれからも続いていくことと思います。ちょっとヘアースタイルをすっきりさせたくなったら、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。気さくなお二人が「オールマイティ」な雰囲気で迎えてくれますよ!

『 Hair Salon MAMORU 』
Shop19, Aust Alrllnes Bldg, 38 Cavill Avenue, Surfers Paradise
電話: 07-5592-2525
営業日:月曜日〜金曜日
営業時間:10:00〜18:00
インタビューコーディネイト/荒木祥久
取材・文・撮影/城文子
インタビュー/2006年02月28日