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新潟県出身 今井富見夫さん
 
約1800種類もの品数を誇る日本食品スーパー『 SUN MART 』を経営されている今井さん。納豆や油揚げ、フライもの、魚の冷凍食品から、日本食に欠かせない調味料の数々、ローヤルゼリーやプロポリスといったオーストラリアの健康食品まで店内に一歩足を踏み入れるとそこは、まさに、日本のスーパー。お世話になっている在住日本人の方も多いのではないでしょうか。今回は、『 SUN MART 』の立ち上げから経営のご苦労話まで、懐かしい味「日本の缶コーヒー」をいただきながらのインタビューとなりました。  
 
オーストラリアに来られたきっかけは?
富見夫さん
「日本では全然違う仕事で、商社とかメーカーでした。今まで、いろいろ33カ国くらい行きましたね。1988年くらいに、働いていた会社の社長から、こっちで何か一緒にやらないかというお誘いがあって、それで89年の8月に来ました」
なぜゴールドコーストで事業を始めようと思われたのですか?
富見夫さん
「16年前にゴールドコーストを見た時には『ここでビジネスはたぶん成功しないだろう』と思いましたね(笑)。でも、まぁ、とりあえず、共同者とここでやってみようかということになって。メルボルンも候補にあがったんですけれど、寒いですしね。シドニーは東京と同じような感じですし……。ケアンズに店を出そうっていう計画もあったんですが、14〜5年前に行ってみて、暑いので、やめました(笑)。ゴールドコーストはやっぱり一番住みやすい所ですよね」
なぜ日本食スーパーだったのですか?
富見夫さん
「何がいいかなと思った時に、日本食がないじゃないですか? その時はブリスベンに一店あったんですけどね。わたし自身、日本食が好きで食べたいですし、じゃあやってみようか、ということで始めました。やっぱり、ここにないからやりましょうってことですよね。きっかけは単純です、ないものをやるってことです。だから日本で日本食関係をやっていたとかそういうことはないんです。わたしもよく『以前からスーパーとかやっていたんですか?』って聞かれますけど、はじめてなんですよ。でも、ほら、よく言うじゃないですか? やってやれないことはないって。最初はみんな素人ですから。今はビジネスの権利を全部買い取って、わたしがやっているんですけど」
『SUN MART』はすぐ軌道に乗りましたか?
富見夫さん
「最初の3年間は赤字でしたね。やっぱり石の上にも3年ってね。あとは、日本は賞味期限が短いですから、どうしてもいっぺんに賞味期限がくるじゃないですか? 例えば賞味期限がちょっと過ぎたら安くしたり、化粧品なんかもメーカーはいいって言うんですけど、やっぱり切れていたら買ってもらえないですから、破棄しかないですよね。日本ではラーメンとか漬物とか味噌とかの賞味期限は4ヶ月ですけど、アジアの国では1年間なんですよ。ドリンク類は日本では1年なんですけど、アジア諸国では2年。だいたい倍近く違うんです。漬物とか味噌なんていうのは本来、保存食じゃないですか? それで、あれは常温表記なので、冷蔵庫で売った場合には日持ちが全然違うんですね。だから、わたしなんか、家では漬物なんて賞味期限切れの物しか食べたことないですよ(笑)。お腹をこわすとかそういうトラブルは今までなかったですね。ただ、オーストラリア人の方がつみれを買って、イワシだから臭うわけですよ。で、『これ、腐っている』と持って来た人はいますよね。あとは、納豆もそうですよ。日本ではデイリーフードですから賞味期限が7日間なんです。でも、われわれは冷凍にして売っているので1年間は大丈夫なんですけど、知らない人は持ってきますね、『賞味期限が2ヶ月も切れているじゃないか!?』と。『ここまで運ぶのに2ヶ月かかっていて、冷凍の場合は1年間大丈夫ですよ』と、新しく来た人に説明するのが大変ですよね。知っている人はみんな当然のごとく買っていきますよ。ですから、どら焼きでも最中でも和菓子関係やデイリーフードは冷凍で売っています」
売れ筋商品はどういったものですか?
富見夫さん
「やっぱり納豆ですね(満喫写真館参照)。油揚げも売れますし、それから秋刀魚ですね。昨日までセールをやってたんですけど、生の秋刀魚3匹が10カートンくらい全部出ちゃいましたね。値段も安いんですよ、3匹で2ドル95セントですから。ローカルの魚屋さんって高いじゃないですか? だからお客様によっては、『それだったらサンマートの秋刀魚や塩さばの方が安い』って言われる方が結構多いですね。あとは調味料関係ですね、お醤油、みりん、調理酒(満喫写真館参照)。それから、お米ですかね(満喫写真館参照)。オーストラリア産コシヒカリだと10キロで21ドル50セント、中国産コシヒカリが10キロで21ドル、カリフォルニア米のカガヤキ米がコシヒカリグレードですけど、それだと9.07キロで43ドルです。まぁ、お米自体があるってことが、われわれ最初に来た時には驚きでしたからね」
客層はどういった割合ですか?
富見夫さん
「オーストラリア人の方も多いですね。日本食に親近感を持っているというか、中国人の中でも台湾の人が多いですし、韓国の人も来ます。他のところで、海苔とか結構高いじゃないですか? もう、倍くらい違うらしいです。バイロンベイやブリスベンから来られる方もいらっしゃいます。もちろん、数で言えば、日本人のお客様がメインですけどね」
お店の2階では貸本屋さんもされていますよね?
富見夫さん
「やっぱり、読み物が好きな人は常時来られますよね。若い人は漫画を借りていきますし。一週間50セントですから安いと思います。新しい本も入りますよ、けっこう売りにこられるんで。だから年間1000〜2000冊は買っていると思います。もちろん古本を買う人もいます。借りても返さない人がいるので、一年間で200冊くらい戻ってこないですね。そういうリスクもありますけど」
ずばり、『SUN MART』はどんなお店ですか?
富見夫さん
「数と価格でお客様に来てもらうしかないですね。お金をだせば、必要なものはある程度揃うようになっていますから、なおかつ足を運んでもらうためにはそれなりの魅力がないと、来てもらえないですよね。ここが自社物件なので、まぁ、家賃を払わない分、お客様に還元できるんじゃないかんと思います。今までも競争はありましたけど、他のところには気をとられずに、他のお店ではいくらで売っているとかそういうことはあまり気にしないでやっています。お客様に言われて、うちの方があまりにも高いのであれば安くしたりしますけど。なるべく一番安い店っていうことでやっていこうと思っていますね」
今後の予定をお聞かせください。
富見夫さん
「早くリタイヤすることですね。だって、ここはリゾート地で皆が遊びに来るところじゃないですか? そこで、働いているっていうのはしゃくにさわりますよね(笑)。リタイヤしてからゆっくりしたいですね。やっぱり、わたしもロスとかヨーロッパとか中南米へ行っていましたけど、ここが一番良いと思います。自分で言うのもなんですけど、日本食だって手に入りやすいですし。レストランだってそんなに高くないですし、飲茶は美味しいし、イタリアンもあるし。日本に帰ろうと思えば8時間くらいで帰れますし。治安や物価を考えたら、わたしはもっとゴールドコーストを宣伝してもいいと思いますね。あとは、まぁ、お客様に喜んでもらえるような店作りをしていくしかないですよね。それと、お店をちょっと大きくしたいですね。皆さんここしか見ていないですけど、倉庫にはいっぱいあるわけです。本当は2〜3列で陳列したいんですけど、場所がないですから1列陳列なんですよね。だから本当は3倍くらいのお店が欲しいんですよ」

「日本食が食べたい、ないから作る」ということでオープンした『SUN MART』。今では在住日本人にとって欠かせない存在のお店ですよね。最近の日本食・寿司ブームもあって、オーストラリア人のお客様も増えているそうです。「お客様に喜んでいただけるお店」をモットーに、なるべく安く、豊富な品揃えがご自慢というだけあって、今年で開店16年目だそうです。これからも商売繁盛、間違いなし! ですね。
『 SUN MART 』
2580 Gold Coast Hwy, Mermaid Beach
営業時間: 月〜土13:30〜19:30 / 日曜日10:30〜19:00
電話: 07-5592-3413
FAX: 07-5539-9503
Web: www.silver-forest.com/sunmart
インタビューコーディネイト/荒木祥久
取材・文・撮影/城文子
インタビュー/2005年08月23日